がんに対する最善の対策が早期発見であることは疑いなく、間違いありません。しかし、
がんの早期は目視が難しいことから、経験を積んだ専門医でさえも見落としが発生することが多いのが実情なのです。
そのため、いかにして
がんの早期発見を容易するかという技術は、
がんの進行を食い止める非常に有効な手段だと言えます。
「
光るがん細胞」の技術をはじめ、多くの技術が平行して開発中ですが、
この「蛍光気管支鏡」を用いた肺がん検査は既に臨床が始まっています。
2009年7月2日
読売新聞
蛍光気管支鏡 早期肺がん見逃さず
1日30本のたばこを吸う東京都の男性(74)は昨年、肺がん検診でたんを調べたところ異常を指摘され、東京医大病院(東京都新宿区)を受診した。口から小型カメラを入れ、気管支の中を見る気管支鏡検査を受けたところ、直径1センチ弱の早期肺がんが見つかった。通常の気管支鏡では見逃される可能性があったが、最新の蛍光気管支鏡で、がんがくっきりと浮かび上がった。早期発見により、男性はレーザー治療だけで回復することができた。(佐藤光展)
肺がんは、発見が遅れると治療が難しく、年間6万6000人が亡くなる。検診では、X線検査が一般的だが、肺の入り口に近い太い気管支にできる「中心型」のがんは、X線では映りにくい。そこで喫煙歴が長い人は、たんを調べる検査を同時に行い、異常があると気管支鏡検査を実施する。
従来の気管支鏡検査では、白色の光を頼りに医師が小型カメラを進め、気管支の内側の変化を観察する。だが、早期がんや、がんになる可能性がある前がん病変は、周囲の正常組織と色合いなどがほとんど変わらず、発見が難しかった。
そこで、発見率向上を目指し、複数の内視鏡メーカーが改良を続けているのが、青色の光を先端から放つ蛍光気管支鏡。気管支内をこの光で照らすと、モニター画面では、正常部分は緑の蛍光色に映るが、がんの部分は真っ黒になる。
がん化した部分は周囲よりもわずかに厚く、光の反射率が異なることや、正常細胞よりも、蛍光成分が少ないことなどから、差異が出る。違いはわずかだが、コンピューター処理で際立たせて、がんをくっきりと浮かび上がらせる。
最新の装置では、検査中に通常光と蛍光の画面を見ることが可能で、この2画面を重ね合わせて、通常光と変わらない色合いの映像から診断できる。
同病院では、最新の電子蛍光気管支鏡を2006年に導入し、年間100例以上の検査を行っている。通常光と比較すると、早期がんと前がん病変の発見率が4割近く上がった。
同病院呼吸器・甲状腺外科教授の池田徳彦さんは「通常光による検査では、慣れた施設でも見逃しが出る。蛍光気管支鏡を使うと、早期がんの見逃しはほとんどなくなる」と話す。
検査は、のどに局所麻酔をかけて15分ほどで終わる。採取した組織の病理検査を行い、がんと確認されても、直径2センチ以下であれば、気管支鏡の先から低出力レーザーを照射して、がん細胞を殺す治療で多くは完治できる。
池田さんは「太い気管支にできるがんの患者は、ほとんどが愛煙家。40歳を超えたら、定期的にたんの検査を受け、異常があれば、すぐに蛍光気管支鏡検査を受けてほしい」と話す。
【 蛍光気管支鏡検査を実施している医療機関 】
- 旭川医大(旭川市) (電)0166・65・2111
- 東北大(仙台市) (電)022・717・7000
- 千葉大(千葉市) (電)043・222・7171
- 東京医大(東京都新宿区) (電)03・3342・6111
- 聖マリアンナ医大(川崎市) (電)044・977・8111
- 大阪府立成人病センター(大阪市) (電)06・6972・1181