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顔のイボが癌
2008年10月16日 読売新聞 健康ルネサンス

顔に「イボ」手術で切除

新潟市の主婦B子さん(64)は16年ほど前、鼻の右脇に黒いイボのようなものができた。5年くらいは1センチ足らずのまま変化がなかったが、その後、次第に大きくなり、3年前、かかりつけの内科医に相談した。「イボだからだいじょうぶ」の言葉に安心した。いちおう皮膚科に紹介状は書いてくれたが、行かなかった。

 「悪いものと分かれば行っていたが……。勇気もなかった。7年前に腎臓がんの手術を受け、少しのことでもおびえてしまう」

 放っておいた結果、イボは最近1年で直径約2センチにまでなり、表面がデコボコしてきた。タオルでこすると血が出ることもある。子供たちも心配し、治療を勧めた。7月末、地元の皮膚科を受診すると、すぐに新潟県立がんセンターを紹介してくれた。

 同センター皮膚科部長の竹之内辰也さんは、拡大鏡でイボを観察し、基底細胞がんと診断、「他の臓器に転移する危険は低いが、取った方がいい」と説明した。B子さんは少しほっとしたが、顔にメスが入るのが心配だった。しかし、「放っておけば骨まで穴があく」と言われて、覚悟を決めた。

 基底細胞がんは、毛の元になる毛芽ががん化したものと考えられている。皮膚がんの中で最も多く、日本人の患者は毎年10万人に5人以上。7〜8割が顔にでき、9割以上がホクロのように黒い。他の皮膚がんと違い、転移は極めてまれだ。発症原因ははっきりしないが、白人の場合は紫外線との関連が指摘されている。

 普通は切除すれば治る。高齢者など手術による負担が大きい場合は、放射線療法や凍結療法が行われている。最近、欧米では外用薬や光線を使った新しい療法が広まり、国内でも普及が期待されている。

 竹之内さんは「顔に多いので、手術後の見た目も無視できない。ホクロのようなイボの表面が崩れたり、出血したりしたなら、基底細胞がんを疑うべきだ」と話す。

 B子さんは8月中旬、局所麻酔で1時間あまりの手術を受けた。がんは皮膚の浅いところでとどまっており、皮下組織を深く切る必要はなかった。患部を中心に皮膚を丸く切除し、すぐ下の顔の皮膚を移植した。

 B子さんは「今は鼻のあたりにしびれが残っている程度だが、手術直後は、顔が内出血ではれて大変だった。気付いていたのだから、もっと早く受診すべきだった」と話している。
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