2008.11.27 Thursday
現代の乳がん治療
2008年5月8日 読売新聞
変化する乳がん治療
乳がん治療も大きく変化しました。薬剤のなかった時代には手術で大きく切除することが大切でした。しかし現在では、有効な化学療法剤、ホルモン剤が多数開発されたこともあり、切除は局所のコントロールに過ぎず、生命予後の改善には全身療法が重要であることが判明しました。
腋の下のリンパ節は従来手術の際にすべて切除していましたが、最近ではセンチネール生検と言って小さな切開で、少しだけ切除して転移の有無を確認し、転移がなければ切除をしない方法に変わってきています。
今までは乳房もすべて切除していましたが、部分的に切除する温存療法へ、さらにはラジオ波などでがん細胞を死滅させ、乳房は切除しない低侵襲療法へ変化しています。
そして術後の適切な化学療法、ホルモン療法、抗体療法を行うことが再発防止のためには重要です。乳がんは他の悪性疾患と異なり手術方法、補助療法も本人の希望による選択範囲が広いのが特徴です。
乳房を切除するか温存するか、再建するか、術後化学療法を受けるかどうかなどメリット、デメリットを納得した上でいくつもの選択をするのですが、迷って決められないことも多いようです。
がんと宣告されただけでも動揺するのに、短時間に多くの重要なことを選択しなければならない、でも情報は少ないという苦しい状況に陥ります。
大切なことは選択するための正しい情報の入手、医師とのコミュニケーション、そして正しい判断能力を有する第三者の助言です。
これからの乳腺外来には選択のための情報提供、医師、薬剤師、看護師などがチームを組んで行う支えるための話し合いの場の設定、体験者コーデイネーターなどの相談の場の提供が必要です。
そして受診者の要望を最大限尊重した治療、安全、確実にがんを根治すると同時にコスメテイックにも納得していただける治療を行うことであると考えます。
プロフィール
土井卓子(どい たかこ) 昭和59年横浜市大医学部卒業、医学博士、外科医、日本外科学会専門医、指導医、日本乳癌学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本乳癌検診学会評議員
一人一人と正面からまっすぐに向き合った医療を行いたいと思っています。自分を大切にして、十分に納得して治療を受けていただくことが大切だと考えています。「医療は医師と受診者が一緒に上手に歩いていくことである」が信条です。
◆女性医療ネットワーク http://www.cnet.gr.jp/
女性の体と心の健康と幸福に貢献する統合医療をめざすNPOです。メンバーが交代でコラムを執筆します。
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