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がんへの過剰放射線害
がんの治療は諸刃の剣です。

特に西洋医療に分類される手術、放射線、抗がん剤は、
がんの種類と状態に応じて慎重な取捨選択が不可欠なのです。

「出来ることを何でもやる」と不必要な治療まで行うと、
症状が悪化し、寿命を縮めてしまう危険すらあるのです。

2007年12月18日 読売新聞

がん放射線治療
「最新装置」過大な期待も

新装置や治療用ソフトなどが多数展示された日本放射線腫瘍学会の会場(13日、福岡市で)

 「この放射線治療は、行う必要があったのだろうか」。抗がん剤治療を専門とする静岡県の浜松オンコロジーセンター長の医師、渡辺亨さんは、患者が過去に受けた治療の記録を見て、疑問を感じることがある。

 昨年、乳がんで受診した50歳代の女性は、肺の5か所に転移したがんを消すため、定位照射という放射線治療を別の病院で受けていた。治療装置を患者の周りで回転させて様々な角度から照射し、がんに放射線を集中させる治療で、ピンポイント照射とも呼ばれる。

 早期の肺がんに有効とされるが、放射線治療医らで作る日本放射線腫瘍(しゅよう)学会の指針では、転移性肺がんの場合、がんが「3個以内」を治療対象としている。この基準を超える転移に照射していたことになる。

 渡辺さんは「肺転移の場合、画像で多数の転移が確認されると、ほとんどの場合、目に見えないがん細胞が無数に散らばっている。見える所だけ攻撃しても、がんを制圧できない」と話す。がんが限定した部位にあれば威力を発揮する定位照射も、がんが広がっていると有効ではない。

 転移が多発している場合、転移の元になったがんを抗がん剤などでおとなしくさせる治療が行われる。ただし、この場合も完治ではなく、症状の緩和や延命が治療の目的になる。

 女性には、渡辺さんが診察した時、肺に新たな転移があった。そこで、抗がん剤治療を行い、転移病巣も縮小、いったん病状が安定した。しかし、3か月後に心臓の機能が低下し、今は心臓の治療に重点を置いて療養しているという。

 学会指針の作成責任者を務めた山梨大放射線科准教授の大西洋(ひろし)さんも「副作用の恐れも考え、過剰治療を避ける意味で、転移がんは『3個以内』を指針とした。このケースは適切な治療とは言い難い」と指摘する。

 女性が受けたのは、トモセラピーという最新装置による治療だった。「最新装置なら……」という期待があったのかもしれない。

 肺の5か所の転移病巣に放射線治療をした医師は「患者には、治療効果は不明だし、通常は行わない、と伝えたが、『どうしても』と強く希望され応じた。確かに装置に過大な期待を抱いていると感じた」と振り返る。

 だが、治療の基本は、最新装置も、通常の放射線治療装置を使った定位照射と同じ。「何でも治す『夢の装置』と誤解されないように説明することも医師の責務」と大西さんは話す。

 最新の放射線治療装置は5億円とも言われる。「導入する病院が増えているが、投資の回収のため、患者に幻想を抱かせ、効果不明の治療をすることがなければよいが……」と渡辺さんは懸念する。

★トモセラピー
 がんの形に合わせ、様々な角度から放射線を集中させる強度変調放射線治療(IMRT)用の最新装置。米国で開発された。治療装置から出すエックス線でCT(コンピューター断層撮影)画像を撮り、がんの位置を素早く確認する。治療時間が短縮できるという。

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