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粒子線治療とは
がんを治療するための機器の進歩は目覚しいものがありますが、
それを操作する医師/技師の育成が追いついていないのが問題です。

2007年12月20日 読売新聞

がん放射線治療
「重粒子線」難治性に威力

 東京都の会社役員の男性(69)は2002年、都内の大学病院で直腸がんを切除する手術を受けた。だが、それから2年たち、尾てい骨の辺りが痛むようになった。検査を受けると、長さ9センチ、幅6センチのがんが骨盤内に見つかった。再発だった。

 最初の手術で、人工肛門(こうもん)を作っており、主治医から「今度は手術できない」と言われた。

 その代わり、別の治療法が示された。「重粒子線治療」という特殊な放射線治療だった。「通常の放射線より高い効果が見込める」と、千葉県の放射線医学総合研究所重粒子医科学センターを紹介された。

 重粒子線は、がんに放射線を集中させやすく、通常のエックス線が効きにくいタイプのがんにも効果があるとされている。

 男性のがんは、エックス線が効きにくい腺がんというタイプだった。同センター医長の山田滋さんに、そう説明され、重粒子線治療を受けることに決めた。

 ただ、この治療は、一部にしか保険がきかない先進医療で治療費314万円は患者の自己負担になる。それでも、男性は「命がかかっていたので、費用はそれほど気にならなかった」という。

 4週間入院し、週に4回照射を受けた。1回の治療は、照射位置を合わせるのに15分程度かかるが、実際の照射時間は数分程度だ。

 治療後1か月もすると、痛みは消えた。治療の影響で、お尻の皮膚の一部が硬く繊維化したが、それほど違和感はない。

 「手術でも、通常の放射線でも治療が難しかったので、重粒子線治療を受けて良かった」と男性は話す。

 同センターは、1994年に重粒子線治療を始め、既に3000人以上の治療を手がけている。前立腺がんでは600人以上を治療し、効果があった。早期肺がんの治療期間は1、2日で済むという。従来の治療では対処が難しい骨肉腫(しゅ)や悪性黒色腫などにも効果が報告されている。

 重粒子線のほか、がん治療に用いる特殊な放射線には陽子線がある。威力に差はあるが、陽子線もがんに放射線を集中させやすい性質を持ち、これら二つを合わせて粒子線治療と呼んでいる。

 国内には、粒子線治療施設は6か所あるが、さらに15以上の地域に、新設の計画や構想が持ち上がっている。ただ、建設費用は陽子線で約70億円、重粒子線は100億円以上と莫大(ばくだい)で、乱立を懸念する声もある。13日、福岡市で開かれた日本放射線腫瘍(しゅよう)学会でも「粒子線治療はどこまで必要か」が議題に上った。

★粒子線治療
 通常の放射線では、体の表面近くで大量のエネルギーが放出され、体の奥に進むにつれて弱まるのに対し、体の一定の深さに強力なエネルギーを集中させられる。周囲の臓器への影響を抑えながら、がんを強力にたたくことができるとされる。

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