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がん治療と設備構想の乖離
がんの西洋医療の3大治療が、手術と抗がん剤と、この放射線治療です。抗がん剤と放射線には副作用が避けられず、体力の低下を招くことが寿命を縮める原因と言われてもいます。

副作用の無い、しかし、緩やかな健康食品
副作用の酷い、しかし、急激な放射線、抗がん剤。

人生は過酷な選択の連続ですが、慎重な決断が必要です。

2007年12月21日 読売新聞

がん放射線治療
ハコ物先行 「粒子線」構想

 粒子線治療はどこまで必要か――。13日、福岡市で開かれた日本放射線腫瘍(しゅよう)学会で、こんなテーマの討論が行われた。

 粒子線治療は特殊な放射線を使う方法だが、施設の建設に70億円〜100億円前後かかると言われる。そうした施設の建設計画、構想が、国内15以上の地域に浮上し、費用と効果などの点から、乱立が疑問視されたための討論だ。

 会場では、推進派、慎重派から、さまざまな意見が出た。

 「粒子線は、エネルギーをがんに集中させる性質が優れている」「骨肉腫など難治がんに対する重粒子線の効果は認めるが、前立腺がんなど患者の多いがんは、従来の放射線治療でも効果が高い」「複数の建設構想のある地域は話し合った方がよい」

 意見は百出したが、見解が一致した点もある。「放射線治療医らスタッフが不足した現状では、国内の構想は多すぎる」ことだ。

 放射線治療施設は全国に700以上ある。一方、同学会認定医は約540人、高度な治療計画作成を手助けする医学物理士は約380人にとどまり、今でさえ人材は不足している。

 粒子線治療を行うには、さらに多くの専門家が必要になる。放射線医学総合研究所重粒子医科学センター長の辻井博彦さんは「医療機関の規模にもよるが、大学病院のような施設でも最低、常勤の放射線治療医5、6人、技師10人、医学物理士ら3人程度は必要。いきなり15や20も施設を造っても、人材供給が追いつかない」と言う。

 学会は「粒子線治療施設の建設、運営には慎重かつ綿密な計画が必要」と異例の声明を発表したが、大きな課題が残っている。

 数億円程度の設備投資で済む通常の放射線治療でも、照射技術の進歩で、前立腺がん、早期肺がんなどでは、副作用を減らしながら、手術に劣らない効果が出ている。これらのがんは患者数が多く、「通常の治療の方が、費用の点でも効率的」との指摘があり、費用がかさむ粒子線で治療すべきかどうか、意見が割れている点だ。

 京大教授の平岡真寛さんは「粒子線治療を普及させる価値があるかどうか判断するには、より慎重な効果の検証が必要だ。それなしに施設が増えれば、費用が無駄になりかねず、通常の放射線治療現場の人材不足にも拍車がかかるだけだ」と話す。

 高齢化とともに、切らずに治す放射線治療は、今後も広がるとみられる。粒子線治療を含め、どのような態勢で進めていくべきか、さらに議論が必要だ。(高橋圭史)

 世界の粒子線治療施設 放射線医学総合研究所によると、治療を行っている施設は、重粒子線が日本2か所、ドイツ、中国に各1か所。陽子線は12か国に計25か所(うち日本は5か所)。

 計画・構想がある府県(カッコ内は主体となる団体)
・宮城 (東北大、県、名取市)
・山形 (山形大など)
・福島 (民間、建設中)
・群馬 (群馬大、建設中)
・神奈川(県)
・同  (民間)
・愛知 (民間を県支援)
・同  (名古屋市)
・福井 (県、装置契約済み)
・大阪 (大阪大など)
・広島 (広島大)
・福岡 (福岡市)
・佐賀 (県)
・鹿児島(民間、装置契約済み)
・沖縄 (県、琉球大など)

 既存の治療施設
・放射線医学総合研究所(千葉)
・兵庫県立粒子線医療センター
・国立がんセンター東病院(千葉)
・静岡県立静岡がんセンター
・筑波大(茨城)
・若狭湾エネルギー研究センター(福井)
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