がんを劇的に押さえ込む新薬が開発される可能性がある研究です。
早く応用研究が開始されることを祈ります。
2009.2.6 日本経済新聞
国立がんセンター、がん抑制遺伝子を発見
国立がんセンター研究所の大木理恵子研究員らは、がんを抑制する遺伝子「PHLDA3」を発見した。人のがん細胞にこの遺伝子を入れると、がん細胞を死滅させることが分かった。新たな抗がん剤や診断法の開発につながる成果。米科学誌「セル」に6日、発表した。
多くのがんでは発がんの過程で「Akt」というがん遺伝子が働く。Akt遺伝子が作るたんぱく質は細胞膜にあるリン脂質と結合し、がんを引き起こす。今回発見したPHLDA3が作るたんぱく質は、Akt遺伝子のたんぱく質と同じ細胞膜のリン脂質に結合。Akt遺伝子のたんぱく質が細胞膜に結合できなくなり、がんを防ぐ。
PHLDA3の作るたんぱく質と似た構造の化合物を合成すれば、新たな抗がん剤の開発などに結びつく可能性があるという。
2009年2月6日 毎日新聞
がん抑制遺伝子を特定…国立がん研の研究員ら
正常な細胞ががん細胞に変わるのを直接防ぐ遺伝子を、国立がんセンター研究所の大木理恵子研究員(分子生物学)らが特定した。さまざまながんの治療や診断の開発に役立つ可能性がある。6日付の米科学誌セルで発表した。
すべての正常細胞は遺伝子「Akt」の働きが異常になると、がん化することが知られている。通常、がん抑制遺伝子「p53」が司令塔となって、Aktががん化するのを防いでいるが、指示を受けて働く遺伝子の正体は謎だった。
研究チームは、がん細胞が死ぬことなく異常に増殖することから、細胞死を引き起こす遺伝子「PHLDA3」ががん化と関係があるのではないかと注目。ヒトの肺がん細胞を調べたところ、この遺伝子が欠けていることを突き止めた。また、Akt遺伝子の働きも異常に活発化していたことも確認した。【江口一】